スイッチOTC等の購入額が年1万2千円を超えた分を所得控除できるセルフメディケーション税制は、2026年12月31日で適用期限を迎える。延長の可否は年末の税制改正で決まり、現時点では確定していない。折しも、OTC類似薬への選定療養(特別の料金)導入も予定されており、患者の市販薬まわりの「損得勘定」が二重に動く局面に入る。
患者はどう動くか
税制が軽症のセルフケアをOTCへ誘導してきた一方、選定療養はOTC類似の処方薬に追加負担を課す。仮に税制が失効すれば、市販薬を選ぶ金銭的メリットが薄れ、「それなら受診して処方を」という揺り戻しが一部で起こりうる。逆に選定療養の負担を嫌い、受診せず市販薬で済ませる層も残る。患者は制度の端境期で判断に迷いやすい。
診療・収益への影響
軽症の受診者数や処方希望は、両制度の最終形次第で上下に振れる。花粉症薬・湿布・保湿剤などを「処方で」と求める患者と、「市販で」と促したい医師の意向がぶつかり、窓口での説明コストが増える。医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用で併用できないため、患者から有利・不利を問われる場面も増えるだろう。
医師が今すべきこと
領収書・明細の発行体制を整え、控除制度の細部は「税務署・薬局へ」と切り分けつつ要点だけ案内できるようにしておく。慢性疾患で継続処方が必要な患者には、医療上の必要性を明確化し、選定療養の対象外となる線引きを診療録に残す運用を徹底したい。
一言まとめ:制度の端境期は患者の迷いが外来に流れ込む――説明の標準化で窓口の摩擦を最小化。