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OTC類似薬の「特別の料金」——軽症患者の流出にどう備えるか

筆者:Sync M.D. 代表 庄野 哲夫[小児科医・CFP®認定者・1級FP技能士]

2026/6/3 [Wed] 17:49 UPDATE

患者の財布が変わる

2026年5月に成立した医療保険制度改革法は、OTC医薬品で代替可能な医療用医薬品について、保険給付の範囲を見直す方針を盛り込んだ。具体的な運用は2026年度中から段階的に整備される見込みで、対象成分を処方された患者は、薬剤費の一定割合(おおむね4分の1相当)を「特別の料金」として保険外で負担する形が想定されている。解熱鎮痛薬、湿布、保湿剤、一部の抗アレルギー薬など、日常診療で頻用する品目が候補に挙がる。患者にとっては「これまで保険でもらえた薬が、病院だと高くなった」という体感に直結しやすい。

受診行動と外来構成への影響

価格差を意識した患者は、軽症であれば受診を控え、市販薬やドラッグストアでの薬剤師相談に流れる可能性がある。影響を受けやすいのは内科・小児科・皮膚科・整形外科など、軽症・慢性の処方が外来収益の一定割合を占める診療科だ。湿布や保湿剤を希望どおりに出してきた漫然処方は、患者側のコスト意識の高まりとともに見直しを迫られる。処方の必要性を診療録に明記し、症状と治療方針を結びつけて説明する姿勢が、これまで以上に問われる。

今すべき準備

まず自院で処方頻度の高い品目と対象候補成分を照合し、影響範囲を把握しておきたい。子ども・がん・難病・低所得者など配慮・除外の対象となりうる患者は院内で整理し、窓口で即答できる体制を整える。「保険は使えるが追加負担が生じる」旨を平易に伝える説明文や、レセコン・電子カルテのベンダー対応スケジュールの確認も早めに進めたい。受付が毎回個別説明に追われれば現場は疲弊する。定型の案内を準備しておくことが、混乱回避の最短ルートになる。

まとめ:「薬の値段」を意識する患者が増えるほど、処方の根拠と説明力が医師の評価軸になる。施行前の今こそ、対象品目の棚卸しと説明体制の整備を。

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